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息子を後継者として事業承継

ある経営者の事業承継を考えるタイミングとシーンについて、一つのモデルを想定してみます。

「これまでの人生、私は自分が立ち上げた会社を大きくすること、そして経営を軌道に乗せることにまい進してきました。そしてついに還暦を迎えます。自分が年を重ねるように、起業して経営してきた会社も創立28年を迎えました。

起業してからこれまでに、たくさんの苦難を乗り越えてきました。若い時分はノウハウが乏しかったこともあり、ある意味根気で乗り切った節が否めません。しかし、その後徐々に取引先にも恵まれるようになり、信頼も得てなんとか利益を出すことができています。自社の株式も、徐々に上がっていくことが見込まれるところまで成長してきました。

私には、息子と娘がますが、今息子は同じ会社で専務として働いています。会社の重要な右腕として頑張っている息子とともに、自分も70歳までは現役でもうひと踏ん張りしたいと考えています。

とはいえ、年齢を重ねると、若かったころのように体の無理は聞かなくなってきていると自覚することが増えてきました。事実、私より年上の経営者仲間の中には、病気で倒れる人も出てきました。

身近の人材にこのようなことがあると、自分の身もいつどうなるか分からないという不安さえ感じます。ただ、幸い私はまだ健康な体で、日々過ごすことができています。そんな今だからこそ、いざという時にも備えておくことが必要なのだと実感するのです。

会社の事はもちろんですが、自分の財産として、土地などの不動産も所有しています。事業の将来と合わせて、一緒に相続財産についても考えていきたいと思っているところです。」

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○会社の事業承継前にするべきことは
会社の事業承継を進めるにあたり、確認するべきは後継者をだれにするかという事です。万が一、後継者が見つからない場合は、株式が分散し会社が経営統率を取ることが難しくなります。

今回は、経営者の息子がすでに専務という立場に入り、会社の経営に携わっていることから、息子への事業承継を希望しています。ただ、実際に承継することを息子が了承しているか否か、意思確認は必要でしょう。後継者が決まっているならば、あとは承継のタイミングと資産をどのように継承するかがポイントです。

そしてもう一点、自社株式が好調に推移していることから株価の上昇が見込まれていることも注意しておくべきでしょう。今後、社長が保有している株式評価が上昇すれば、相続財産が増加することになります。

すると、この株式の相続人は過重の相続税を負担しなければならない可能性があります。生前贈与や遺言書で以て、あらかじめ相続財産の振り分けを検討し、自身が意思を表示しておくべきでしょう。

○「人・モノ・カネ」の確認事業承継計画は必須
事業承継は、思い立って即、簡単に処理が完了するものではありません。少なくとも数年単位のスパンを見越して、一つずつ経営や株式の引き継ぎを行って進める必要があります。進行予定と確認のために、事業承継計画をしっかりプランニングしておきましょう。

会社の「ヒト・モノ・カネ」の動きは明確にしておきましょう。株主構成や会社の情報、ノウハウを可視化し、客観的に評価見直しをしたうえで、経営方針や目標を定めます。そして、目標に向かってどのタイミングで何をすべきかを明示することで、他の社員や取引先も事業承継を明確に理解し、資産譲渡などの手続きを進めることもできるようになります。

計画書の作成は、後継者と一緒に行いましょう。互いにタイミングや目標値を確認し、また問題意識を共有しながら進めることで、双方に自覚が生まれます。

○客観的な立場のアドバイスを受ける
事業承継は、会社の構成・経営・資産の3大要素全てをスムーズに引き継ぐために、独断や願望に頼らず客観的視点を持つことが重要です。しかし、家族の当人同士であれば感情的になる場面もあるでしょう。

そこで、同様の案件を専門に扱っている税理士や弁護士に相談することをお勧めします。会社法等の法規に加え、相続税対策、承継の手続きなど、各分野の士業を頼り、円滑・計画的で客観的にも問題ない事業承継をすすめましょう。